ドクターからの健康アドバイス

掲載3  一次性頭痛国際分類についての感想“樹を見て森を見ず”:一次性頭痛の原因解明について③

 

頚部のさらに重要な構造と働きと異常

頚部は頭と胴体を結ぶ部位であることは、子供であろうと知っていることであり、ばかにするなとおっしゃるかもしれない。しかし、ほとんどすべての方が本当のところをよくわかっていない。首の前方には交感神経と副交感神経の太い束が頭からと胴体からの両方向の自律神経線維の太い束となって位置している。多くの方は頭から胴体への神経の束が胴体の各機能を働かせる命令神経(遠心繊維)であることはよくご存じだろう。しかし逆方向の胴体から頭へは約4倍くらいの情報を伝える神経の束(求心繊維)が存在している。実はこれらの多くの求心性神経線維が何をしているのかは未だ十分に分かっておらず、未開の研究分野なのである。そしてこれらの神経の束は、頸動脈や太い内頸静脈と一緒に筋肉組織に囲まれて守られている。しかし、あなたの前のめり姿勢の習慣で頚部筋肉がこわばったら、微小循環障害はこの部位にすぐ起こってくる。頭の姿勢が前のめりになると、筋肉のこわばりが、内頚静脈(図1)という頭部からの静脈血の95%が心臓に戻る大通りを締め付けてしまい、頭の方はうっ血状態となる。さらにはリンパ液で水浸しとなり、まるで氾濫状態である。これによって内耳のリンパ液が多くなったり、戻ったりすることでめまいが出没、耳鳴りが出没、耳閉感や、耳がガサゴソといった内耳の症状となるのである。驚いたことに、耳の症状でめまい、耳鳴りそして難聴までもある患者様たちが、数か月の有酸素上下運動をすると、症状が改善するという耳鼻科の先生の書いた論文がある(参考文献1)。この臨床研究報告論文は私の唱える「めまいの静脈うっ滞機能仮説」を裏付けている。良性発作性頭位めまい症の耳石説は果たして事実であろうか。

頚部の自律神経障害をさらに見ていくと、交感神経の緊張によりまぶしさ、発汗、心臓のドキドキが起こりうる。他方、副交感神経緊張が起こると、吐き気、腹部の張り、ドライマウス、ドライアイなどが起こる。こうした自律神経障害は30種類以上の症状としてあらわれる。そしてついには全身倦怠感、不眠、お天気に揺さぶられる調子などの症状があらわれ、放っておくと不眠、うつ状態やパニックまで起こりうるのである。これらの自律神経障害が子供に起こると、起立性調節障害と診断されて心療内科医による薬物療法となる。これは患者様家族にとって大変不幸なことである。
頚部にある自律神経系からの情報は、交感神経と副交感神経の求心線維束を通って中枢の視床下部にまで及ぶことになる。視床下部は遠心性に内分泌系と自律神経系をコントロールしているので、その障害はたとえば月経不順や甲状腺機能障害を引き起こすことになる。さらに自律神経障害は免疫異常まで起こすことになることが最近分かってきたのであるから、まさに全身症状となる。このような状態を回避するにはバイオブランという免疫調整作用のあるサプリメントが有効であることが、医学的に推察される。これは最近の発見であるが、免疫細胞(マクロファージとTリンパ球)の細胞表面にアセチルコリン受容体の存在が証明されたのである(参考文献2)。アセチルコリンは副交感神経系である迷走神経の神経伝達物質であるから、バイオブランが免疫系に作用すると、副交感神経系にも作用が広がる。従って、バイオブランの視床下部刺激の作用も推定されている(参考文献2)。

前のめり状態は、現代病の全身倦怠感、新型うつまで引き起こしうる。スマホ病、パソコン病、ゲーム病で子供たちの起立性調節障害まで引き起こしている。「前のめり姿勢」を改善、あるいは避ければ、この様な症状は消え去ることになる。この治療法を考案したのが、松井博士である。これはムチ打ち治療法からの首凝り、うつ治療の低周波電磁波照射治療と遠赤外線治療法である。香川県の松井病院の3か月入院患者での臨床データ報告では、87%の治癒率、95%の改善率である。通院治療でのデータはまとめにくいが、筆者は、これらに近い改善率を患者様から体感している東京脳神経センターの医師である。事務系の仕事を続けている患者様たちは仕事を継続しながら、医療保険で全額カバーされている松井理学療法治療を両立されている。
米国では、最近になってTracyの迷走神経刺激説を基盤とした電気刺激装置(参考文献3)がNIHからの許可を得て、頚部皮下に埋め込む外科処置の必要な電気刺激装置による治療法が臨床の現場に応用されている。この治療法はてんかん、後天的なうつ病などを対象とした治療法であり、松井理学療法とは全く異なる。

 

宜:蒲逅幹2006)、臨床のための脳局所解剖学、中外医学社より

図1. 内頚静脈

 
【参考文献】
1. 高橋正紘:生活指導と有酸素運動によるメニエール病の治療 Otol Jpn. 2010: 20; 727-34.
2. Endo Y, Ninomiya K, Ooi S-L: Chronic microinflammation as “Friendly-Fire” in aging and diseases. 103-114, 2023, Springer, in Modified   Rice Bran Arabinoxylan. Therapeutic Applications in Cancer and Other Diseases”.
3. Johnson RJ et al: A review of vagus nerve stimulation as a therapeutic intervention. J Inflamm Res 2018: 11: 203-213
4. Matsui T, …Endo Y, …: Effect of intensive inpatient physical therapy on whole-body indefinite symptoms in patients with whiplash-associated disorders. BMC Musculoskeletal Disorders. 2019:20:251-259.
5. Matsui T, …Endo Y, …: Cervical muscle diseases are associated with indefinite and various symptoms in the whole body. European Spine J. 2020, 29:1013-1021.
6. Matsui T, …Endo Y, …: Possible involvement of the autonomic nervous system in cervical muscles of patients with myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome (ME/CFS). BMC Musculoskeletal Disorders. 2021:22:419-428.
7. Matsui T, …Endo Y, …: Cervical muscle stiffness and parasympathetic nervous system improvements for treatment-resistant depression. BMC Musculoskeletal Disorders. 2022:23:907-915.

ドクタープロフィール

東京脳神経センター総合内科、病理専門医、医学博士 遠藤 雄三 (えんどう ゆうぞう)

経歴

  • 昭和44年(1969年)東京大学医学部卒。
  • 虎の門病院免疫部長、病理部、細菌検査部長兼任後退職。
  • カナダ?マクマスター大学分子医学部門粘膜免疫部客員教授となる。
  • 浜松医科大学腫瘍病理学講座非常勤講師、宮崎県都城市 洋香看護専門学校非常勤講師を経て、
  • 現在、東京脳神経センター外来医師。
  • 専門分野:病理学、腎臓病

<主な研究課題>
生活習慣病予防にかかわる食物、サプリメント、生活習慣病と公衆衛生、IgA腎症と粘膜免疫とのかかわり、人体病理学、臨床免疫学、実験病理学

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